そんな中に突如として現れた、怪しげなイカの怪人･･････！！
「がはははははは！
このオレ様は、デビル三人衆の一人・ゲソデビルだ！！
デビル三人衆の強さを知らしめる為に、まずはオレが町を破壊させて頂くぜ！！」
何やら平和な町に一波乱起きそうである。
「あ〜〜〜〜〜あ！！日本列島どこもかしこも平和だぜ！
何か面白い事、無いかなー？」
能天気な声を上げながら街中を登校途中の１人の少年。
彼は私立・破輪振(ぱわふる)学園高等部１年・味覚糖純露。
生まれつきESPがあるらしく、幼少時には紙屑を宙に飛ばす程度のサイコキネシスしか無かったのだが、
成長するに従い小さな物ぐらいなら持ち上げられるようになり、現在ESPを高める為の訓練中。
あまり並外れた力を周囲にひけらかさないで欲しいという両親の願いに反し、
「そんな度量の狭い考え方では、人類の進歩はありえない！」
と、学園内にESP研究会を設立しているが、周囲から胡散臭がられて、部員は純露１人だけ。
今に何か大きな事件を解決して「自分の名を世に広めるぞ」と密かに野望を抱いている、
少々末恐ろしい少年である(苦笑)。
「何か起きても、お前のお粗末な超能力じゃ役に立たないよ。
それよか、オレのご自慢のロボット達の性能を試す絶好の機会ではあるかもしれんな」
同行しているもう１人の少年・浅田飴ニッキは、純露の同級生。
ロボット工学をやっている父親の影響で、自分も学園内にロボット研究会を設立してロボットを数種作っているが、
どれも機能や行動に問題が多く、実用化の目処が立たない為、部員はニッキ１人だけ。
「ふーんだ！お前の使えないロボットよりも、オレのESPの方が世間のお役に立てるよ！」
「じゃあ、オレのロボットと勝負してみるか？」
「望むところだ」
ちょっと険悪なムードになってしまったようが、こう見えてもこの２人、結構仲が良いのである。
だが、そこへ突然――
グワシャ――――――ン！！
「「うわっっ！！」」
彼らの近くのビルが破壊された。よく見ると、破壊を行っているのは謎のイカの怪人！
「このゲソデビル様の力を見せてくれるわ！
ぬわああああああああ！」
グワシャ――――――ン！！
ゲソデビルは触腕を伸ばし、次々にビルを破壊していった。
「ぬわあああああああ！暴れてやる！」
「うひょー！ラッキー♪♪♪冒険が向こうから飛んで来たぜ！」
「喜んでる場合じゃねえよ！早く、避難しないと！」
「何言ってんだい！こんな時こそ、オレのESPを世に知らしめる絶好の機会じゃねえか！
行くぞ、怪物！とりゃ〜〜〜〜っっ！！」
まったく、恐れを知らないというか、何も考えてないというか、能天気な超能力少年・味覚糖純露は大張り切りでゲソデビルに向かって行った。
「･･････こりゃ、加勢してやらなきゃいかんな･･･」
走って行く純露を不安げに見つめるニッキ、一目散に何処かへ走り去って行った。
「待て待て！イカの化け物！このオレが相手になってやる！！」
「？？？？何もんだ？お前は？」
いきなりの飛び入りに、ゲソデビルもさすがに驚いた。
「エスパー戦士・味覚糖純露！町の平和を乱す奴は、このオレが倒す！！」
「なーにを小癪な！倒せるものなら倒してみろ！」
ビシッ！ビシッ！ビシッ！
ゲソデビルは純露に向かって、触手で周りの石を弾き飛ばした。
「何の、これしき！
カァーーーーーーッ！！」
純露も負けじと、ESPで全ての石を撥ね退けた。撥ね退けたまでは良いのだが――
バコッ！バコッ！バコバコッ！！
その撥ね退けた石がすべて周囲の人々に命中！中には純露の担任・災原難太郎先生もいた。
「ありゃー！皆さん、白目向いて気絶してるよ！」
「がははははは！お前が倒したのは、町の住民だったようだな！
では、これよりオレ様が、お前を倒させてもらうぞ！」
ゲソデビルが純露に迫る！と、その時――
「待てー！」
「誰だ！？」
そこへ現れたのは、われらがヒーロー・キザブルー！
「キザブルー参上！もじゃもじゃの怪人！町で暴れまくるのは・・・よせよ☆」
「んだとお！」
「少年よ。私が来たからには、もう安心だ。危ないから下がっていなさい」
「ご冗談でしょ、コスプレのお兄さん。アンタこそ、危ないから下がってな」
身の程知らずの純露、スーパーヒーローを前にしても一歩も譲らない。
「えーい！どっちでも良いから、早く掛かって来い！！」
痺れを切らしたゲソデビル、言い合う２人に向かって大声で怒鳴った。
「ならば、私が相手だ！」
「あっ、ちょっと･･･」
純露を押しのけて、キザブルーがゲソデビルに向かって行った。
「いくぞ！」
こうして、合作ご恒例の大乱闘が開始された。
「せいやあああああ！」
キザブルー、ゲソデビルにキックをかまそうとするが、ゲソデビルは軽やかなフットワークで難無くかわしていく。
「んなもん当たるか！」
ビタンッ！！
「うわッ！」
キザブルーの顔面に、ゲソデビルの強烈なビンタ一閃！！
「つ、強い・・・」
「がはははははは！」
ゲソデビルのビンタを食らい、泣きそうなキザブルーを見て、純露は呆れ顔で言った。
「何だよ、そんなイカ野郎のビンタの１発ぐらいで情けない」
「黙れ！すんごく痛いんだぞ！１回食らってみるか！？」
「思ったより打たれ弱いんだな。その分だと、お父さんにもぶたれた事が無いんだろ？」
「よく分ったな」
「お前達、下らん問答は終わりだ。覚悟しろ！！」
言い争う２人にゲソデビルが迫って来た。危うし！だが、そこに――
「なんだか、楽しそうなことやってるな」
やって来たのは、どこかで見たようなサングラスの出前持ち。
「なんだ！貴様は！出前なんか頼んだ覚えはないぞ！」
ゲソデビルの言葉には答えず、出前持ちは何やらポーズを取った。
「変身！」
「仮面ライダーエース！！」
何と、どこかで見た事があると思ったら、出前持ちの正体は、A-Worldの世界に登場した仮面ライダーエースだった！！
「何だ！？アンタといい、あの出前持ちといい、変な奴の側には必ず変な奴が集まって来るもんだなあ！」
「キミも他人の事を言えるか！！」
キザブルーと純露のつまらない言い争いを尻目に、合作恒例の大乱闘が再び開始された。
「とぉーーーーっ！！」
「ぬわあああああああ！
双方互角！！果たして、勝負の行方は！？
「あたっくらいど！すないぱあ！いよおおおお！」
ぽん！
仮面ライダーエースは、例によって万能アイテム・エースミヤビを取り出し、武器・エースナイパーを出した。
「もらったぜ！」
ずどおおおおん！
「ぬわ！しまった！熱で手が・・・覚えてろ！」
「待てー！」
触手がお団子状態になってしまい、慌てて逃げるゲソデビルを仮面ライダーエースは追った。
だが、キザブルーは･･････。
「俺の時代は・・・終わった・・・」
何とも挫折に弱いヒーローである･･･(汗)。
「ちょっと、キザさん！落ち込んでる場合じゃ無いぜ！オレ達も奴を追うんだ！」
純露に促されながら、キザブルーも後を追った。
「待てー！」
「待てるかー！」
両手を封じられたゲソデビルは、尚も逃げ続けたが･･･
「ちょっと待った！！」
そこへ立塞がる３つの影。
「ムムッッ！何だ、お前達は！？」
ゲソデビルの前に現れたのは、純露のクラスメート。
龍角散糖衣丞
居合抜きの達人。嫌いな事は、下らない物を斬る事。
永谷園すし太郎
銭形平次の血を引く家筋の息子らしいが、何故か父親は寿司屋を経営している。
ワン・タンメン
在日中国人。豪華料亭のお坊ちゃんで、中国拳法の使い手。ちょっとクールな美少年。
「純露、ニッキに頼まれて助っ人に来たぞ」
「随分と珍妙な奴と戦ってるんだなあ」
「また、おかしな事に足を突っ込んだか。面倒見切れんな」
「何だよ、ニッキの奴。頼みもしないのに、余計な事しやがって･･･」
見せ場を奪われそうで、不服そうな純露であった。
「くそーっ！数に物を言わせようったって、そうはいかんぞ！
ぷーーーーっっ！！」
イカ男が息を吹き出すと、あら不思議。息に混じってイカ男そっくりな戦闘員がワラワラ現れた。
「ものども！かかれー！」
「イカイカイカイカ！！」
純露、糖衣丞、すし太郎、ワン・タンメン、キザブルー、謎の出前持ちに戦闘員が襲い掛かる！
「おーっっ！団体さんのご登場だ！！」
「じゃあ、いよいよ勝負だな！」
「また、下らん物を盛大に斬る事になりそうだ･･･」
しつこいようだが、合作恒例の大乱闘シーンがまたもや始まった。
「でやーーーーっ！！」
「あちょーーーーっ！！」
糖衣丞の剣捌きとタンメンのカンフー技が、ザコイカに鮮やかに決まる。
「オレだって負けてないぞ！受けよ！必殺わさび寿司！
とぉーーーーっっ！！」
シュシュシュッッ！！
すし太郎が投げ銭よろしく、緑色の寿司をザコイカの口目掛けて投げ込んだ。
「ぎゃあああ〜〜〜〜〜っっ！！」
「がらいぃぃ〜〜〜〜〜っっ！！」
何と、投げ込んだ物はわさびの塊り！
これは、かなりのわさび通の人で無ければ耐えられないであろう･･･(冷汗)。
「オレ達もやるぞ！！とぉーーーーっ！！」
ずどおおおおん！
キザブルーと仮面ライダーエースも、ザコイカに応戦した。
そんな様子を物陰から伺う２つの影があった。
「何だよ、怪人が暴れてるって情報があったから来てみたら、凄いお兄さん方が戦ってるぜ」
「今回は、ちと出番が無さそうじゃのう･･･」
その２人は、われらが甲賀忍者・ケムマキケムゾウと魔術師はってむだった(久々だね！)。
「オレにもやらせな！たあーーーーっっ！！」
「イカイカイカイカーーーーーーッッ！！」
純露の念力で、ザコイカが浮き上がった。純露の超能力は行き当たりばったりというか、ご都合主義というか、
土壇場の所で大きな力を発揮するようである。
そこへ糖衣丞の必殺の剣が炸裂した。
「秘剣・そうめん斬り！！でやーーーーっ！！」
スパ!スパ!スパ！！
糖衣丞の剣により、ザコイカは細ーく千切りにされ宙に舞った。
「･･･また、下らん物を斬ったか･･･」
「おーっっ！！イカそうめんじゃーーーーっっ！！」
「美味そーーーーっっ！！」
ザコイカのなれの果てのイカそうめんに、ケムゾウとはってむが思わず飛び出してきた。何とも食い意地の張った２人である。
「お主達は、何者だ？」
「ああ、オレ達もアンタ達同様、悪と戦う勇者だよ。及ばずながら、助太刀するぜ」
「やめときな。子供と爺さんの出る幕じゃないよ。引っ込んでな」
２人の戦歴を知らない純露は軽く一蹴したが、その彼の後ろにザコイカが迫ってきた。
「危ない！忍法・金縛り！！カァーーーーッッ！！」
ケムゾウの金縛りを受け、ザコイカの動きが止まった。そこへ空かさず、ケムゾウの剣が炸裂した。
「ね？オレも捨てたもんじゃ無いでしょ？」
「すげぇ･･･新手のエスパーか･･･？」
ケムゾウの不思議な術に、純露は唖然とした。
「ならば、ワシも！はってむ流魔術・そうめん縛り！！」
はってむが手にしたイカそうめんをクモの糸の如く放つと、ザコイカ達はイカそうめんに雁字搦めにされ動けなくなった。
「イカイカイカイカ･･･(汗)」
「わっははは！！どうじゃ、自分の仲間に縛られる気分は？」
「･･･お二方の力量は分ったけど、食べ物を粗末にするのは頂けないな･･･」
「まったく同感」
「オレは、化け物イカのなれの果てなど食う気もせん！」
妙なところで意気投合するタンメンとすし太郎に、あくまでも冷淡な糖衣丞だった。
こうしている間に、ザコイカ軍団は全滅してしまった。
「ぬわあああああああ！」
ゲソデビルは、根性で団子になった触手を元通りに引き伸ばした。
「おのれーーーーっ！！
こうなったらオレ様の触手で、うぬらを捻り潰してくれるわーーーーっ！！」
ゲソデビルは、８人に向かって触手を伸ばしてきた。危うし！！だが――
「待てーーーーっ！！そうはさせないぜ！！」
そこへ猛然とダッシュしてきたのは、浅田飴ニッキを肩に乗せた身長５メートルの巨人ロボット・ヘラクレスだった！！
「ヘラクレス！メガトンパンチ！！」
「ガオーーーーッ！！」
バキッ！！
「ぎゃあああああああっっ！！」
ヘラクレスの強烈パンチが、ゲソデビルに炸裂した。
「みんな、大丈夫か？間に合って良かったぜ」
「何だよ、結局は美味しいところを持って行くんだなあ」
「ウガー。ゴ主人様、オレ、ゴ主人様ノオ役ニ立テタ･･･？」
「ああ、役に立ったよ、ヘラクレス。お前は良い子だ」
「ヘラクレス、褒メラレテ、大変ウレシイ♪」
「ちぇーっ！勝手にやってろ！！
ヒーローのお兄さん方ー。後の始末は任せるから、早いところ、そのイカ片付けてよ」
純露の言葉に、キザブルーは頷いた。
「よし！後は我々に任せてくれ！
覚悟しろ！イカの怪人！キザブルーキイイイック！」
「エースミヤビフィニッシュ！」
ドカァァァァァァァァァァン！！
「ぎゃああああああああっっ！！」
２大ヒーローの大技を食らい、ゲソデビルは戦闘不能なぐらいボロボロになった。
「こいつ、まだ生きてるぞ」
「しぶといな。一気にとどめを差してやる」
ヨレヨレのゲソデビルに迫る一同だったが、突然の銃撃が彼らの足元を弾いた。
「うわっ！何者だ！？」
一同が見ると、そこにはゲソデビル同様イカのような姿をした２人の怪人がいた。
「オレはエンペラデビル。デビル三人衆のリーダーだ」
「そして私はスミデビル。デビル三人衆の紅一点よ」
「ゲソデビル。まったく、だらしの無い奴だな。こんな連中にボロボロにされやがって」
「ホント、困った子ね。私達がいないと、なんにもできないんだから」
「ともかく、今回は引き上げて体勢を立て直すぞ！」
「あっ、待てっ！！」
ゲソデビルを助け起こしている２人のイカ怪人に向かって行く一同だったが、スミデビルが口から吐き出した煙幕の為、３人を見失ってしまった。
「くそー！デビル三人衆め！この次は必ず倒すぞ！！」
新たな敵の出現に、闘志を燃やす勇者達であった。
「まあ、何はともあれ、やっと片付いたな」
「やれやれ、町の人々も無事で良かった」
「ちっとも無事じゃ無い！！」
事件が片付いて喜んでいる一同の前に、タンコブだらけになったボロボロの災原先生が怒りもあらわにやって来た。
「キミ達の戦闘のお陰で、こっちは大迷惑だ！石礫は飛んでくるは、イカの怪物は飛んでくるは、
おまけにわさびの塊が口に飛び込んできて、ワシャまた気絶し直したワイ！！」
「まあまあ、平和を守る為には多少の被害は付きもの。
これも一つの運命だと思って、諦めて受け入れてよ、先生♪」
「かぁーーーーっっ！！
他人を巻き込んでおいて、そんな言い草があるかーーーーっっ！！」
あまりに無責任な純露の言葉に、災原先生は怒りの拳骨を見舞おうとしたが、そこへ糖衣丞が助け船を出してくれた。
スパスパッ！！パラリ
「だああっっ！！ワシの服が！！」
「そんなボロボロの姿では、様にならんでしょう」
「そうそう。では、親衛隊。熱くなり過ぎた先生を楽しませて、機嫌を直してやってくれ」
「おいこら！！何をするんじゃい！！」
「それー♪わっしょい、わっしょい♪」
タンメンの命令で現れた８人の部下、人呼んで「ワン・タンメン親衛隊」が、
パンツ一丁になった災原先生を担いで何処かへ連れ去って行った。
「ふーっ！下らん物を斬りっ放しだ」
「まったく、自分の運の悪さをいちいちオレ達のせいにして来られたんじゃ堪んないぜ」
『･･･この連中、教師に対する尊敬の念が全然感じられんな･･･まあ、オレも他人の事言えんけど･･･(苦笑)』
担任の不幸に素っ気無い態度の純露達に、少々呆れ顔のケムゾウとはってむだった。
「何はともあれ、キミ達の協力のお陰で怪人は撃退できた。今後も世界平和の為に共に戦って行こう。
では、さらば！」
「さよならー。こっちこそ、これからもよろしく！」
こうしてケムゾウや純露達の見送りを受けながら、キザブルーと仮面ライダーエースは去って行った。
「そうだ。そういえばアンタ達、さっき不思議な超能力を使ってたよな。
実はオレ、学校でESP研究会やってんだけど、部員がオレ１人なんだ。特別部員として入部してもらえないかなあ？」
「ええっっ！？オ、オレ、遠慮しとく」
「ワ、ワシの力も超能力と呼べるものでは無いのでな」
純露のいきなりの勧誘に、ケムゾウとはってむは泡を食って逃げ出した。
「おーい！待ってくれー！」
「やれやれ。純露の奴、自分の研究会の部員集めに必死だな」
「まあ、オレ達も他人の事言えないけどさ」
３人の追い駆けっこを、苦笑いで見つめる一同で会った。
(完)