宇宙マフィア・ヤミダークの挑戦
遊園地を舞台にワルワル団と宇宙のマフィア、そして新登場の戦隊チームが大乱闘!!
(協力:オーレさん)

「首領!ご命令通り、宇宙のマフィアを連れてまいりました」



ここはワルワル団の秘密基地。
基地内の壁の巨大な『悪』のシンボルマークを通して、ワルワル団の首領の声が聞こえてきた。
「でかしたぞ、アウン軍曹」
「ほう、ここが秘密基地か、テレビで見たことはあるが、現物は初めてだ」

ワルワル団秘密基地に連れて来られたヤミダーク、得体の知れ無い場所に来ても堂々たる態度である。
さすが宇宙のマフィアと言うべきか・・・。
「宇宙のマフィアよ、お前の力で地球を恐怖のどん底に陥れろ!」
「俺は宇宙のマフィアだ。地球の組織の指図される覚えはない」
「お前、首領の前で無礼だぞ!」
「なんなら『首領』とやら、あんたの正体を全読者にばらしてもいいんだぜ」
何たるチア・・・!!このヤミダークという男、どういう経路で調べたのかは不明だが、
ワルワル団の首領の正体を知っているらしい。



「そっそれは困る!まだ、私は正体を知られるわけにはいかん。
アウン軍曹、下手にこいつをしげきするな」

「わかりました・・・」
首領にたしなめられて、アウン軍曹は忌々しそうにヤミダークを見つめた。
悪の組織の首領を脅迫するとは何とも恐ろしい男である。
このまま味方に引き入れても大丈夫であろうか・・・?

「土産といってはなんだが、お前たちに俺のコレクションを見せてやろう」
「コレクションだと?」
「出でよ!カフェロボクサー!」


ヤミダークが叫ぶと、基地内に1体の黒いボディに白いトランクス姿の巨大なロボットが現れた。
「これは!?巨大ロボか?」
「まあな、サイボーグタイプの新型ロボだ」

「素晴らしい・・・このロボットならば、勇者共のロボットに立派に太刀打ちできるかもしれない」
巨大ロボットでさえ容易く作り出すヤミダークの力に、ワルワル団首領は驚きの色を隠せなかった。
「ヤミダークとやら、報酬は弾む。
だから、その巨大ロボットで地球の町を破壊し、我らの邪魔をする勇者共を倒してくれ」
「良かろう。だが約束を破れば、アンタの正体を読者にバラすからな」
「わ、分った!必ず約束は守る!!(汗)」
果たして、世界の運命は――!?

★         ★          ★        ★

今日も町の遊園地は大賑わいだった。
中でもロボット・チャイルドXの乗り場は、毎度の事ながら行列ができてごった返していた。
子供達の操縦で遊園地内を歩き回っているチャイルドXを、ケムマキケムゾウ・ケムシ兄弟と芥川童馬、国生明菜は観覧車から見物していた。



「いつもの事だが、チャイルドXは凄い人気だなあ」
「でも、あんなのがいきなり暴走し始めたら大変だろーな」
「バカだなあ。そうならないように、決まった範囲をグルグル回るだけしかしないよう動きを制御してあるんだろ?」
「分ってるよ、兄貴。ただ言ってみただけさ」
と、ケムゾウとケムシが話していると、突如、園内が騒然となった。
遊園地に1体の怪しげな黒い巨大ロボット侵入してきたのである。



「何だ!?またワルワル団か!?」
観覧車内で慌てふためくケムゾウ達だったが、黒い巨大ロボットの矛先はチャイルドXに向けられていた。
チャイルドX内では1人の少年が楽しげに操縦していたが、近付いてくる巨大な影に驚きの声を上げた。



「ひえーーーーっっ!!何なの!?!?」
巨大ロボットはチャイルドXを羽交い絞めにしてしまった。



「地球の勇者共に告ぐ!!直ちにお前達のロボットを明け渡し、ワルワル団に降伏しろ!!
さもなければ、このロボットの中にいる子供の命は無い!!」
「何てこったい!ワルワル団の悪ロボットめ、チャイルドXごと子供を人質にしちまったぞ・・・」
あまりの事態に、ケムゾウ達は動揺の色を隠せなかった。
童馬は、管制室にいる祖父の芥川博士に通信を入れた。
「ジイちゃん!中にいる子は大丈夫か?」
「それがな・・・何度も連絡を取っているのだが、応答が無いのじゃよ」
それもそのはず。チャイルドX内の少年は、慌てた為に足を滑らせ床で頭を打ち、気絶していたのだから・・・(汗)。



「わははははは!!どうだ、勇者共!!手も足も出まい!!」
人質をとり形成有利のヤミダーク。
「ふははは!これで俺に逆らうことはできない!」
しかし・・・!!
「ヤミダークさんよう、人質を放してもらおうか」



ヤミダークの背後に謎の男が立っていた。
しかもヤミダークは後頭部に銃を突きつけられている。
「貴様・・・いつの間に・・・!?」

一方、こちらは観覧車から降りたケムゾウ達。この事態をどうするか、思案に暮れていた。



「どうする、芥川。何とか、チャイルドXに入り込む方法は無いのか?」
「何とかあの悪ロボットに気付かれないように、右足の後ろに行ければ良いが・・・」
ちなみに、チャイルドXの右足の後ろには、乗り込む為のエレベーターの入り口がある。
ケムゾウ達が考えあぐねている際で、例の謎の男に銃を突きつけられているヤミダーク、
形勢が逆転して自分が手も足も出ない状況になってしまった。
「さあ、ヤミダークさん。こうなったら無駄な足掻きは止めて、大人しく人質を放して降参してもらおうか?」
「・・・分った、言う通りにしよう・・・」

ヤミダーク、潔く観念したかに見えた・・・が!!
シュン!!
「き、消えた!?」

ヤミダークは、瞬間移動によりカフェロボクサーの中に乗り込んだ。
「はっはっはっは!!闇の支配者であるこのオレ様を、簡単に取り押さえられるとでも思っていたのか!!
これでも食らえ!!」
カフェロボクサーはチャイルドXを羽交い絞めにしたまま、指からビームを発した。
ビーーーーッ!!
ズドン!!ズドン!!



「何の!!」
謎の男は敏捷に避け、カフェロボクサーに銃を撃ちまくった。
「見ろ!ワルワル団のロボットと戦ってる人がいるぞ!」
「しめた!あの人が奴の注意を引き付けているうちに、チャイルドXに乗り込もう!」
その様子を見たケムゾウ達は、チャンス到来とばかりにチャイルドXの右足の後ろの乗り込み口に入り込み、
エレベーターでコクピットへと上昇した。

コクピット内では、人質の少年が床に倒れて気絶していた。
「何だ、こいつ。怖くて気絶してんのか」
「だらしない奴!」
コクピットに入り込んだ4人組は、口々に悪態を吐いた。何とも、口の悪いガキ共である(汗)。
ケムゾウは少年に付いている操縦機を自分の手足に付け替えた。
「よし!操縦の方はオレに任せて、お前らはそのチビを頼む!」
「OK!その代り、オレ達の活躍する分も残してくれよ!」
「分ってるって!デヤーーーーッ!!」


ケムゾウの操作するチャイルドXは、羽交い絞めにしているカフェロボクサーに見事な一本背負いを決めた。
ズデーーーーン!!
「だああっっ!!な、何だ!?」
ヤミダークはカフェロボクサーの中で尻をさすりながら、突然の事態に驚きの声を上げた。
「やい、悪ロボット!チャイルドXは、オレ達が取り戻させてもらったぜ!」
「無駄な足掻きは止めて降参しな!」
「ムムム・・・小癪なガキ共め・・・!こうなっては仕方が無い!では、勝負だ!!」
「望むところだい!!」

「こいつを降ろす暇が無いな・・・運命を共にさせちまうが、悪く思うな」
気絶している少年を済まなそうな目で見つめる4人であったが、果たして勝負の行方は!?

★         ★          ★        ★

今まさに、チャイルドXとカフェロボクサーの一騎打ちが始まろうという、その時――
遊園地にアウン軍曹が配下の怪人を連れてやってきた。
「アウン軍団・ムエダイ!ロボが戦ってる間遊園地をめちゃくちゃにしてやれ!」

「シュッ!シュッ!」
「わッワルワル団!」
「この遊園地も我がワルワル団のものだ!ふははははははは!」
「くそーっ!とんだ邪魔が入ったぞ!」
「オレ達は、この悪ロボットと戦わなきゃいけないってのに!」
動揺するケムゾウ達を尻目に、アウン軍団の怪人ムエダイは破壊行動に出た。
「ぬわあああ!俺の鋼鉄のキックを見よ!シュッウウウ!」

ズドオオオン!
ムエダイはミニカー乗り場のミニカーを蹴飛ばした!
ガシャアアアアアン!
ミニカーはなんか(?)のアトラクションの柱にめり込んだ!
「いかん!子供が危ない!」
「おーッと動くなグラサン!動くと、もう一発いくことになるぜ」
「うッ・・・」
子供の命を盾に取られて、謎のサングラスの男は手出しができなかった。
「わははははは!!どうだ、勇者共!!手も足も出まい!!」
「何度も同じ事を言うないっっ・・・!!(怒)」
カフェロボクサーの中で勝ち誇って高笑いするヤミダークに、ケムゾウ達は忌々しげに毒づいた。
「ヤミダークよ!遠慮はいらん!今こそ勇者共を叩き潰すのだ!!」
「承知した!!」
手出しのできないチャイルドXに、カフェロボクサーは攻撃を仕掛けようとした。
まさにピンチの、その時だった!!
「とおおおおおッ!」


突如、現れた何者かが乗り物から落ちそうになっている少女を救出した。
服装から見て、どうも先程のサングラス男の仲間のようである。
「何!?貴様!何者だ!?」
「読者の皆さん、久しぶり。
このイガグリ頭に見覚えあるかい?」
おー!このグラサンのイガグリ頭!!筆者は見覚えがあるが、こちらのサイトには初登場である。
でも、福禄堂の合作を読んでおられる方々なら覚えているかもしれない。
突然の飛び入りにアウン軍曹とムエダイが驚いていると、
更に追い討ちを掛けて、謎の二人組みがムエダイに発砲してきた!
ズドン!!ズドン!!

「うわあ!なんだ!おまえたちは?」
謎の集団のリーダーと思われるイガグリ男は、チャイルドXに向かって叫んだ。
「キミ達!この怪人の事はオレ達に任せろ!!」
「分った!どなたか知らないけど、ありがとう!」

こうして改めてチャイルドXとカフェロボクサーの対決が始まろうとしたが、
その時、童馬達に保護されていた例の少年が気絶から覚めた。



「うん・・・むにゃむにゃ・・・あれ?ボクどうしてたの?」
「やばい・・・まずい時に目を覚ましやがったぜ・・・(汗)」
「悪いなあ、お前さんは今オレ達の戦闘の真っ只中にいるんだ。
こうなったら覚悟を決めてオレ達と運命を共にして死んでくれ」
「え〜〜〜〜っっ☆★☆★!?」


(ショック!!)
←(笑)

「国生!あんまり脅すような事を言ってやるな!危ない目に遭わせて済まんが、キミを安全な所に降ろす暇が無かったんだ。何とか、あの悪ロボを倒すよう全力を尽くしてみる!」
ケムゾウの言葉に、少年は今の状況を把握したようだった。
「そうか・・・みんなはボクの為に、悪者と戦ってくれてるんだね」
「では、改めて勝負と行こうか!」
「来い!小僧ども!!」

チャイルドXとカフェロボクサー、両者は激突しようとした・・・・・・が!!
「ちょっと待って!!」
「ずっっ・・・!!」

例の少年に呼び止められて、2体のロボットは思わずコケそうになった。
「何だよ、いきなり・・・」
「あいつと戦うのは、ボクにやらせてくれない?」
「えーっっ!?」
「みんな悪者相手に戦ってるんだろ?きっと、ボクにだって悪者と戦える力があるんだ!
お願いだから、やらせて!!」

少年の目には、真っ赤闘士の炎が赤々と燃えていた。
あまりの事に、ケムゾウ・ケムシ・童馬・明菜の4人組は呆気に取られた。
「どうする?ケムゾウ・・・(汗)」
「こういう思い込みの激しいのは、下手に刺激せん方が良い・・・(汗々)。
やりたいようにやらせてやれ。いざという時には、オレ達が手助けしてやろう」

こうして、チャイルドXの操縦はケムゾウから少年へと交代された。
「それじゃあ、行かせてもらうよ!それーーーーっっ!!」
ポカーーーーン!!


張り切って飛び掛って行ったのは良いが、
少年の操縦するチャイルドXはカフェロボクサーのパンチを受けて、あっさりと吹き飛んだ。
「何だよーーーーっっ!!全然弱いじゃねえかっっ!!(汗)」
床にモロに打ち付けられて明菜が毒づいたが、チャイルドXが立ち上がろうとしたところへパンチがもう1発飛んで来た。
「だああっっ!!おい、チビ!もう良いから、オレ達に代われ!」
「ふにゃあ・・・・・・ま、まだまだ!正義の味方は、必ず最初のうちは負けてるものなんだ」
「「「「てめえが弱過ぎるんだよっっ!!(怒)」」」」
カフェロボクサーの追い討ちは更に続いた。
「でやあ!!でやあ!!でやあ!!」

ドカッ!!バキッ!!ボコッ!!
嗚呼、前途危うし・・・(汗)。果たして、彼らの運命は!?

★         ★          ★        ★

一方、謎の集団は怪人ムエダイと戦っていたが、やはり彼らも生身の人間。
集団とはいえ怪人相手では、かなり苦戦していた。
「くそー、このままではラチが明かんぞ!」
「5人揃いさえすれば、変身して必殺技が使えるんだが・・・!」
「ハカセは一体、何してるんだよ!」
どうも彼らには、もう1人仲間がいるようだが、一体どのような人物なのか?


デコッ!!ボコッ!!グシャッ!!ベコッ!!
例の少年の操る超弱いチャイルドXは、ボコボコのヨレヨレにぶちのめされ、もはやグロッキーの状態であった。



コクピット内では問題の少年は勿論の事、ケムゾウ達4人もヨレヨレになってぶっ倒れていた。



「ひい・・・はあ・・・もうダメだあ・・・」(明菜)
「あいつのせいで、オレ達は死ぬんだ・・・」(ケムシ)
「誰だったかなあ、あいつと操縦を代わってやったのは・・・」(童馬)
「文句を垂れるな!お前らだって止めなかったじゃねえか・・・!」(ケムゾウ)
4人組が浅ましく言い合う傍らで、少年は床に倒れながらも戦う意気込みを出していた。



「な・・・何の!ボクには、食べれば元気が出るこれがあるんだ!!」
そう言いながら、彼がズボンのポッケから取り出したのはラムネのケースだった。

謎の集団がムエダイに苦戦する中、その戦場に走ってくる1人の少年がいた。
「あっ!ハカセ!」

「みんな〜!遅くなってごめん!」
「ハカセ!何やってたんだ!?」
「塾で予習やってたら遅くなった(笑)」
「たく!しょうがねえな・・・」
「それより電太さん、お腹出てますよ」
「そうだ!お前少し痩せろよ!」

「まあまあ可憐嬢、ハカセ君、これは僕の美学だよ。『男の色気ってやつ」
突然の飛び入りに、アウン軍曹もムエダイも驚いた。
「何者だ!その小せがれは!?いくら味方が増えたところで、このムエダイには勝てぬぞ!!」
「それはどうかな?よし!みんな揃ったところで変身だ!!」
「おう!!」

リーダーの合図と共に、5人揃った謎の集団は一斉にポーズを取った。
「そうだ。変身する前にグラサンを取ろう」
「そうそう、読者のみなさんに挨拶しなきゃ」

「それ!」
赤マフラーと青マフラーの男はアウン軍曹とムエダイにグラサンを投げた!
シュッ・・・!!

「ぬわあ!おのれ!」
「名刺代わりの挨拶だ!」
「なかなか似合ってるぜ☆」

「熱血!ボイルチェンジャー!」


5人のブレス状の変身アイテムをかざし、
その穴から大量の湯気が噴射され彼らの体を包み込む。




5人の身体が大量の湯気で包まれる時。



彼らは「熱血戦隊ボイルマン」に変身するのだ。
(見にくいですけど、5人の頭と耳から出てるのは湯気です)
「おおっ!お前達は!!」
「熱血一直線!ボイルレッド!」

「華麗一輪!ボイルブルー!」

「セクシー一色!ボイルイエロー!」

「パワー一撃!ボイルピンク!」

「勉強一筋!ボイルグリーン!」

「熱いぜ!ハードボイルド!熱血戦隊!」

「ボイルマン!」
「ボイルマンだと!?」
「ワルワル団!ボイルマンがいる限り、お前達の勝手にはさせん!!」
「変身したからには、もうこっちのもんだぜ!覚悟しろ!!」
レッドとイエローの言葉に、アウン軍曹も負けじと言い返した。
「何を小癪な!ムエダイ!構わぬから片付けてしまえ!!」
「シュッ!シュッ!」



一方、ラムネケースを取り出した少年は、ケースの蓋を取ると中のラムネの粒を口に流し込んだ。
すると、彼に何やら変化が――!!
「むむむ・・・き、来てます、来てます・・・・・・
パ・・・パワーがみなぎる、溢れる、ほとばしる〜〜〜〜っっ!!」


「なっ、何なんだ!?奴から発する強烈なコスモは!!??」
「これは、ただ事じゃ無いぜ!!」
少年の突然の変わり様に、4人組はモーレツに驚いた。そうしているうちに、カフェロボクサーが再び攻撃を仕掛けてきた。
「わははははは!もはや最後のようだな!死ねい!!」
バコーーーーン!!
だが、今度は強烈なパンチを放ったのはチャイルドXの方だった。



パンチを受けたカフェロボクサーは、盛大に吹き飛ばされ後頭部を強打した。
「どおおおっっ!!これは、どうした事だ!?」
チャイルドXの突然の反撃に、さすがのヤミダークも大いに慌てた。
「打つべし!打つべし!ただひたすら打つべーーし!!」
ボコボコボコボコ・・・!!
チャイルドXの超モーレツ連続パンチ攻撃に、さすがのカフェロボクサーも押され気味。反撃も、ままならなかった。
「ばっ、馬鹿な!?何なんだ!?この尋常で無い強さは!?」
チャイルドXの猛攻は更に続いた。もうこうなったらノリノリである。
「受けてみろ!!必殺の連続40回パーンチ!!
でーーーーい!!1、2、3、4・・・」


ドカドカドカドカ・・・!!
「だあああああっっ!!」

「37、38、39・・・これが止めの40発目だーーーーっっ!!」
「わわっっ!!だ、脱出ーーーーっっ!!」

バコーーーーン!!


ヤミダークが瞬間移動で逃げ出した後、最後のパンチでカフェロボクサーの頭部が吹き飛び、カフェロボクサーは爆発四散した。
「わははははは!!やったやった!やっつけたぞ!
やはり、正義は勝つ!!」

チャイルドXのコクピット内で1人高笑いしている少年を見ながら、ケムゾウ達はたじろいでいた。
「・・・一体、何者なんだ。このガキは・・・?(汗)」
「やっぱ、ただ者じゃねえな・・・(汗々)」


★         ★          ★        ★

ここは☆楽園?
ボイルマンとワルワル団は、激しい野外ショー・・・ではなく死闘を繰り広げていた。


キエエエエエエエエ!

ほあちょおおおおおおお!


「なかなかやるな」
ザコを一掃し終えたボイルマンの前に、ヤミダークとムエダイが現れた。
「ヤミダーク!」
「次は我らが相手だ。お前達の中から代表を出して来るがよい」
「よし、オレが行ってやる」
「私もだ」
ボイルマンの中から、ボイルブルーとボイルピンクが進み出た。
「シュシュッ!ボイルブルー!俺が相手だ!」
「望むところだ!いくぞ!」
「くるがいい、ボイルピンク」
「いくぞ!ヤミダーク!」




ボイルピンクとヤミダークの戦いが始まろうとする時、その場にケムゾウ達が駆けつけてきた。
「おい、あの姉ちゃん、1人であの黒い奴と戦うつもりらしいぜ」
「女の人1人で大丈夫かよ」
「ムムム!これは助けに行かねば!!」
「こら、邪魔してやるな」

またもや闘志満々にコスモを発するラムネ少年を、ケムゾウは慌てて制した。



ヤミダークはケムゾウ達に向かって、不敵にもこう言い放った。
「小僧ども、この女1人ではハンディだと思うなら、横から助太刀してきても良いぞ」
「バカにするな!子供の助けなんか借りなくても、お前なんか私1人で倒してやる!」
「よく言った。来い!」
「行くぞ!!
タァーーーーーーッ!!」
ボイルピンクは果敢にもヤミダークに向かって行った。双方ほぼ互角の腕前。ボイルピンクは女性ながら、かなりの凄腕である。これには、ケムゾウ達も舌を巻いた。
「すげえ!あの姉ちゃん、なかなかやるぜ!!」
「やれやれ!姉ちゃん!!」
「どうだ、ヤミダーク!潔く観念して降参しろ!!」
「ムムムッッ!!何の、これしき・・・!!」



一方、ボイルブルーもムエダイと互角の戦いを繰り広げていた。
「シュシュッ!オレ様の連続キックを受けてみろ!!」


ガシャン!!ドカッ!!ガシャン!!
ムエダイの蹴り飛ばしてくるベンチやゴミ箱、その他諸々の物をボイルブルーはあっさりとかわした。



「ふっ、お前の技はその程度のものか?ならば、こっちも行くぞ!マシンガンキック!!」


ビシ!ビシ!ビシ!
ボイルブルーは目にも止まらぬ素早いキックで、足下の石をムエダイに連続的に蹴り込んだ。
「ギャア〜〜〜〜〜〜ッッ!!」
「あの青い兄ちゃんもやるな!」
「良いぞ!どっちも頑張れー!」
「ピンクの姉ちゃん!オレ、アンタに惚れちゃったぜー!胸の筋肉カッコ良いー!!」
明菜のとんでも無い言い草に、ボイルピンクはムッとして言った。
「バカ!これは筋肉じゃ無くて、私の女の証だ!!」
この時、ボイルピンクに隙が生じた。その隙を、ヤミダークが見逃す筈が無かった。
ドカッ!!


ヤミダークの蹴りが、ボイルピンクの後頭部に決まった。
「ああっっ!!ピンクの姉ちゃん!!」
「国生!!このドアホ!!お前が、いらん事を言うからだ!!」
ケムゾウが怒りに任せて明菜の頭をどついた。
「イターッッ!!ケムゾウちゃん、ゴメン!あの姉ちゃん、あんまり良い体してたもんで、つい・・・」
まさに大ピンチのボイルピンクだったが、オタつくケムゾウ達4人を尻目に素早く行動を起こした者がいた。
「ハンディ頂き!!」


とぉ〜〜〜〜〜〜っっ!!」
バコッッ!!


「・・・・・・」

例のラムネ少年の飛びっ蹴りが、ヤミダークの顔面を直撃した。
ヤミダークは仰向けに仰け反りながらぶっ倒れた。

「シュシュッ!何の、これしき!行くぞ!ボイルブルー!!」
再び攻撃を繰り返そうとするムエダイだったが、そこへ何かが転がってきた。
コロコロコロ・・・・・・ズゴッッ!!
「ギャッッ!!」
足を取られたムエダイはもんどりうって倒れた。
「何だ?こりゃ?」



ボイルブルーが拾い上げてみると、それはヤミダークのマスク!どうも、ラムネ少年の蹴りを食らった弾みで脱げたらしい。
「わわわ〜〜〜〜っっ!!オレの素顔を見るな〜〜〜〜っっ!!」
ヤミダークは顔を隠しながら、大いにうろたえた。
「へー・・・オッサン、そんなに顔を見られるのがイヤかい?」
「何か、見るなと言われると、余計に見たくなっちゃうんだよねー♪」
悪魔的な笑いを浮かべながら歩み寄ってくるケムゾウ達を前に、激しく狼狽した。
「仕方が無い、ヤミダーク!この場はひとまず退却するのだ!
「くそーっ!・・・では、さらば!!」
ドカーーーーン!!


ヤミダークが投げた煙球に一同むせ返ったが、煙が晴れた後にはヤミダークとアウン軍曹の姿は無かった。
「惜しいなあ、逃げられたか」
「ピンクの姉ちゃん、コイツのお陰で命拾いしたね。感謝しなよ」
明菜がラムネ少年を指して言った。
「何言ってんだい!
元はと言えば、アンタが変な事さえ言わなきゃ・・・ところで、ボイルブルーは?」
ボイルピンクが振り向くと、ボイルブルーの前では、
転んだ時当たり所が悪かったせいか、ムエダイがなかなか起き上がれずにいた。
「こりゃラッキー♪皆さん、後の止めは任せるぜ!」
ケムゾウは、ボイルマンにフィニッシュを頼んだ。
「よし、みんな!ボイルドビンダーだ!」
「おう!」

ボイルレッドが手を翳すと空から巨大な土瓶が飛んできた。
大きな怒りの目がパッチリとついた、何ともお茶目なフォルムである(笑)


「・・・・・・芥川・・・あれ、何に見える?」(ケムゾウ)
「土瓶・・・だよなあ・・・誰が見たって・・・(汗)」(童馬)
ボイルマンは巨大土瓶をムエダイに向けて構え、照準を合わせた。
「ターゲットロック!」

「ボイルドビンダー!」
「ファイヤー!」

ズドオオオオオオオオオオオオン!

「ギャア〜〜〜〜〜〜ッッ!!」
ボイルドビンダーの砲撃を受けて、ムエダイは爆発四散した。

★         ★          ★        ★

こうして、チャイルドXとボイルマンの活躍でカフェロボクサーとムエダイは撃退され、ワルワル団は遊園地から退散して行った。ケムゾウは、皆を代表してボイルマン達に礼の言葉を述べた。
「ボイルマンの皆さん、どうもありがとう。お陰でワルワル団を撃退する事ができました」
「いや、何々。キミ達の力も、なかなか大したものだよ」
「これからも、共に世界の平和を守って行こうね」
ボイルイエローとボイルグリーンが言うと、彼らは共に手を握り合い、悪と戦う者同志の友情を誓い合った・・・・・・
が、その時ボイルピンクがケムゾウ達の様子を見て声を掛けた。
「ちょっと・・・どうでも良いけど、アンタ達。
何で、さっきから笑いそうな顔してんのよ!?」
よく見ると、ケムゾウ達一同(ラムネ少年も含めて)、何やら必死で笑いを堪えている。
「い、いえね・・・オ、オタクらの武器の、そのドデカい土瓶・・・(笑)」
「い、今まで、そんなオモロイ武器でフィニッシュを決めた人達見た事ねえ・・・(笑々)」



「「「「「ぶわーーーーっはっはっはっはっは・・・・・・!!!!!」」」」」
童馬の後の明菜の言葉に、一同は堪えきれずに大爆笑を始めた。
これにはボイルマン達、非常に機嫌を損ね、ボイルドビンダーも怒りのあまり蒸気を噴出した。
「・・・調子こいてんじゃねーよ!!このクソガキどもーーーーっっ!!」

「「「「「うわーーーーっっ!!ゴッ、ゴメンなさいーーーーっっ!!」」」」」
殺気立ったボイルピンクの恐ろしい剣幕に、ケムゾウ達は一目散にその場を退散した。

「ふーっ!びっくりした」
「この先、顔合わせるのが厄介な連中だな(笑)」
「結構強くて、心強い味方なんだけどね・・・(苦笑)」
遊園地から、やや離れた場所で一息ついた5人組。それからケムゾウ達はラムネ少年に向き直り、まず童馬が彼に訊ねた。
「おい、チビ。お前、一体何者なんだ?何でいきなりあんな底力を発揮できるんだ?」
「ボクは何の事も無い、ただの男の子だよ。
でも、この『元気の出るラムネ』を食べると、負けないぞー!って気持ちになって、
体の底から力が湧き出してくるんだ。
みんなも一度試してみると良いよ。それじゃあ」
少年はラムネのメーカーを教えてくれると、皆と別れた。
「あばよー!ご協力ありがとうよー!」
「さよなら、みなさーん」


「・・・何か、変わったガキだったな」
「でも、このラムネ・・・普通の市販物だよね・・・?」
「あのチビだけに奇跡が起こるってか・・・?」
「すげえ、思い込みの力・・・」
「ある意味、見習いてえな・・・(笑)」

四者四様に思いながら、去って行くラムネ少年の後姿を見送るケムゾウ達だった。


(完)

「おのれ、地球の勇者ども・・・お陰で報酬がオジャンになったぜ・・・ちょっと、奴らを甘く見過ぎていたようだな
・・・この次は、必ず倒す!!」


宇宙のマフィアのプライドを傷つけられたヤミダーク。この雪辱の思いを胸に、次はどう出てくるか!?